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春、水温15℃以下のOWS、突然死のリスクは大

 冷水での長距離泳で“低体温症”についてはよく言われることです。しかしそれは長時間、冷水に浸かっていた結果にそうなるものであって、“突然死”の危険性についてはあまり語られないでいました。そこで特に今の時期に起こりがちなオープン・ウォーター・スイマーの溺死(突然死)について触れてみましょう。

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2005年7月15日、ドーバー海峡横断中のスイマーとボート

 日本付近(北半球)の海水温は夏至(6月22日頃)から約二ヶ月後、つまり8月下旬から9月上旬に最も高くなります。逆に最も低くなるのは、冬至(12月22日頃)からやはり約二ヶ月遅れた2月下旬から3月上旬頃になります。
 4月になると気温は上昇し、先日、東京でも25℃(夏日)近くまで上がりました。まあ春は「三寒四温」と呼んで気温の変化が激しいのですが、水温は気温ほど変化はありませんし、それほど上昇もしません。
 言わば春は一年中で最も気温と水温の差が激しい時期で、このようなときに冷たい海に飛び込むなどはどんなに泳げるスイマーであっても“危険だ”というお話です。
 ちょっと調べましたら駿河湾(沼津付近)と相模湾(江ノ島付近)で15(4月上旬)~20℃(4月下旬)でした。しかし潮の動きや河川の下流域などでは15℃以下になる場合があります。

 今年4月16日、ロンドン(イギリス)では最高気温が25℃まで上がり、そこでハムステッド・ヒース公園にある池を泳いだ19歳の青年スイマーが溺死しました。池の水温は8℃。死因は急激な温度低下のショックが心停止を引き起こしたと考えられています。(“London Evening Standard”より)

 この事故からもわかるように、「今頃(春)の海での水泳は最も危険」とイギリス、ポーツマス大学極限環境研究所教授、マイケル・ティプトン氏が警告しています。
 普段から低水温で泳いでいるスイマーを除き、自律神経は一般に冷水に触れると皮膚表面の熱センサーが二種類の反応を起こします。一つは身体の熱センサーで暖かさを求めてより多くの血液を巡らせようと呼吸が速くなります(過呼吸)。次に顔の熱センサーが冷水を感じたとき、酸素を温存しようと呼吸が遅くなります(心拍数低下)。冷水に飛び込むと、この相反する熱センサーの反応はほぼ同時(アクセルとブレーキを同時に踏んだよう)に発生します。
 これは私たちの身体の自律神経(自然保護システム)として共存しており、特に水温15℃以下ですと身体は暖まろうとして反応は大きくなる傾向があります。
 この反応を低減するには冷水では徐々に入水し、身体に何が起こっているか、身体の警告システムを感じ、始めは顔と首に水をかけてゆっくりと入ることが重要です。特に冷水に入る習慣があまりないスイマーの場合は。

 ポーツマス大学、マイケル・ティプトン教授の学術論文“‘Autonomic conflict’: a different way to die during cold water immersion?(PDF)”によりますと、「冷水経験のあまりないスイマーは15℃以下の海で泳ぐと溺死(突然死)の危険性が高くなる。突然死は最初の呼吸の呼気の10秒で発生する可能性がある。これは心臓のシステムクラッシュにつながると同時に、迅速かつゆっくりポンピングすることによって血流を再調整しようとするため、これが発生すると考えられている」と書かれています。

 マイケル・ティプトン教授は約500の溺死例を考察しました。毎年海で発生する溺死のトップは子どもによるもので、誤って落水したことが原因です。第三位に一般成人が入っており、いずれにせよ安全性が高い岸などから3m以内で67%が発生していました。
 ところが教授の困惑するのは強いスイマーの溺死例が55%もあったことです。そこで調べた結果、彼らは気温と水温の差が大きいことに気付かず、飛び込むなど急激に冷水に入水していたことを見出しました。特に水温15℃未満であったことから、「冷水への飛び込みは最大の危険」と教授は考えています。

 いずれにせよ冷水に飛び込むと脳と皮膚から2つの相反するメッセージを身体が受け取り、脳は血液循環速度を遅くするため酸素を節約しようとし、皮膚は体温上昇のために血液循環を加速しようとします。
 冷水の入水対策としては、何が起こるか身体に事前警告を与えるために、

  1. 呼吸が正常であることを確認し、ゆっくりと入水する。
  2. 早めに冷水を顔と首にかけ、深呼吸をする。
  3. 最初の20ストロークは水面下に頭を入れない。

を守ることです。

 他にティプトン教授は自律神経に影響を与える薬物について、「抗ヒスタミン薬、抗生物質、抗精神病薬やアルコールの服用も突然死の起因を上げる」と言っています。

 予防としてはスイマーのライフスタイルの一部として一年中海泳ぎを継続することです。同時に一人で泳ぐことをしないように、かつ自己責任で泳ぐことが重要です。

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