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シリーズ「人と決まり」 7.身体障害者と小型船舶操縦免許

 クルマの運転免許は“オートマ車”などの誕生により、身体障害者へも大きくその取得枠が広がった。その変化に追い付いていないのが小型船舶の操縦免許取得枠。おそらく小型船舶をよく知らない人は「クルマは“オートマ車”のように簡単に運転できるようなったが、船はそこまで船自体が簡単に操縦できるようになっていないのではないだろうか」と思われることだろう。ところがどっこい、漁船の操縦するリモコンは皆さんがテレビやビデオで使うリモコンに少し毛の生えたような大きさのもので驚くほど簡単に操縦できる。つまり漁をしながらも操縦できるようになっているのだ。
 もっと便利というか困ったことは、「オートパイロット(自動操舵装置:以下“オーパイ”と表示)」まで船にはある。これをセットすると目的地まで船が連れて行ってくれるのだ。これはクルマより進歩している?
 ただこのオーパイ、障害物を避けてくれるほど進歩はしていない。
 伊豆の下田から伊豆大島まで泳いでいる時のことだった。この日、風もなく絶好の遠泳日和。もちろん漁船が伴走している。すると左舷後方(8時の方向)からヨットが接近してきた。ヨットも風がないため帆をたたみ、エンジンを用いて航海している。つまりお互いは“動力船”の関係。すると海上衝突予防法による“横切り船”の関係になる。皆さんにおいては「避航船と保持船との関係」と書いた方がわかりやすいかもしれない。
 この場合、相手を右に見る方が避航船(ヨット)、相手を左に見る方が保持船(漁船)となる。つまり漁船は針路を保持し、ヨットが避けなければならない。
 ただこのヨット、フラフラとどんどん接近してくる。漁船には「遠泳中」という大きな表示を掲げ、泳者の伴走をしているので急激な進路変更は出来ない。そこで漁船はヨットに向けて音響信号(警笛)や発光信号(フラッシュライト)などで知らせるが、ヨットは一向に転進しようとする行為が見えない。
 更に近付いてヨットのスキッパーも確認できるようになった。転進しないはずである。ヨットの皆さん、デッキで日光浴しながら寝ているのだから。。。
 肉声でさえ聞こえる位置まで近付いて初めてスキッパーの眼が覚めた。そこで慌ててヨットが左へ転進して後2mで衝突は避けられた。ところが怒った漁船の船長は「バッカヤロー! テメェー、待てぇー!」と怒鳴ったが、追い掛けられる状況にもなく、ヨットはとっとと逃げて行った。ヨットがフラフラ接近したのはオーパイだからだ。
 夜中に360度陸上が見えない洋上で仮眠をとるためにオーパイにするならわからなくもないが、大島付近で昼間の洋上、オーパイにして寝ているヨットマンの心境はわからない。
 まあ何が言いたいかというと、こんなヨットマンでも小型船舶操縦士の免許を持っているということだ。

 さて、小型船舶とは総トン数20トン未満のエンジンなどが付いた動力船で、主に海、湖、河川を航行する船だ。この小型船舶を操縦するには日本の場合、免許が必要。だが“小型船舶を操縦するには免許が必要”と決まったのは最近(数年前)のこと。過去においては少し違った解釈だった。平たく言うと、小型船舶には小型船舶操縦士(船長)が乗っていれば誰が操縦しても構わなかった。何故なら船舶職員法によると「小型船舶操縦士(海技免状)」は、区分として「船長」になる。
 だから私などは自分の船を障害者でも子どもでも操縦させた。経験をさせたかったからだ。
 そもそも“船長”とは船舶の最高責任者・管理者をいい、必ずしも四六時中、船長が操縦しなければならないという訳ではない。つまり船長の指示によって操縦する人を決定出来る権限があり、船長の命によって操縦する人が、必ずしも免許を持っている必要はないということだ。つまり船長とはある意味“責任免許”なのだ。ところが身体障害者には小型船舶操縦免許を取得するのに難しい。それは「悪条件下で操縦が出来るか」というところが問題らしいが、“責任免許”と考えた時に当てはまらないような気がする。
 そもそも小型船舶操縦免許を取得するには①身体検査、②学科試験、③実施試験に合格しなければならない。そしてそれは身体検査に合格しないと学科試験の受験資格がなく、学科試験に合格しないと実施試験の受験資格がない。つまり取れるものから取るのではなく、身体検査から順番に合格していかなければならないのだ。
 この身体検査で引っ掛かるのが身体障害者。もちろん視力や聴力がないなら仕方が無い。しかし問題は船長として的確な判断と管理責任能力があるかだ。その能力を確かめることなく受験資格を与えていない。これが問題だ。逆を言えば、管理責任能力がなくとも身体に障害が無ければ受験資格があり、更に実際、どうみても管理責任能力など微塵もみられないヨットマンが免許を取得し、問題を起こしている。声を大きくして私は言いたい。それはそんな者に免許を与えた日本にも責任があると!

 過去に海ではどんな身体障害者が活躍していたかを調べてみた。

  • フック船長:ピーター・パンと戦って左手を切り落とされ、ワニに食べさせられてしまったようだ。まあこの頃の海賊といえば義手、義足、義眼。まさに身体障害者オン・パレード。
     ただ童話でディズニーによってかなり内容がアレンジされているので実在した可能性は低いように思う。
  • 白鯨:1851年に発表されたハーマン・メルヴィル(米)の長編小説「白鯨」(映画にもなった)は、船長のエイハブがかつて“モビィ・ディック”と渾名される白いマッコウクジラに片足を食いちぎられ、鯨骨製の義足を装着していた。
     小説だがおそらくモデルがあったと想像される。

 上記は童話や小説だが、次は実在した正真正銘の船長。

  • マゼラン:世界一周就航に成功させたかの有名なマゼランは1509年2月3日、ディウ沖(インド)で起きたイスラム船との海戦で片下肢に重傷を負っている。海戦にポルトガルは勝利し、インド洋でのポルトガルの覇権を確立するが、この負傷でマゼランは「生涯片足を引きずって歩いた」とものの本に書いてある。
     おそらく今の障害名で言うと「片下肢不完全麻痺」で、身体障害者手帳等級なら4級程度だろう。小型船舶免許を取得するにはまさにグレーゾーン。

 他にも身体障害であっても有能な船長は実在されていると思うが、私の調べたものでは上記の程度。だがいずれも船長として有能な者ばかりだ。
 トラジオンSCが誕生したころ、一般の公共施設(プール)では「危険だから」という理由で障害者がプールに入ることは出来なかった。おそらく同様の理由で船舶免許の扉が閉ざされていたと思われる。これらそもそもの原因は一般に障害者についての無知無理解。

 問題は大きく二つあると思う。

  1. 小型船舶に対する免許制度そのものの必要性
  2. 障害者は船長になれないのか

 海外で小型船舶(20トン未満)に免許制度を導入している国(地域)はそれほど多くない。言い換えると小型船舶そのものに免許制度は無くとも「小型船舶を操縦するには無線機と無線の免許が必要(ハワイ州)」などがある。まあこの方が実用的。つまり障害の有無は無関係。日本もアマチュア無線を運用するには無線技士の資格が必要になるが、年齢制限がないので小学生でも楽しめる。
 実際、日本の家族がクルーザー(小型船舶)でクルージングに出た。ところが船長であるお父さんの具合が悪くなり、小学生のお嬢さんを除く全員が倒れてしまった。そこでそのお嬢さんはお父さんの操縦を見よう見まねで操船して無事に寄港したという話である。
 1996年、14歳(中学3年生)で東京~サンフランシスコ間をヨットで単独横断した高橋素晴少年(新潟県)は、“18歳以上”という小型船舶免許の年齢制限のため免許は持っていなかった。しかしある程度の大きさ以上の一般のヨットは港内航行用にエンジンを持っている。港内や危険な海域では必ず汽走しなければならないからだ。
 船舶免許を取得できない高橋少年だが、安全のため無線の電源確保としてエンジンをヨットに搭載したかった。逆を言うとエンジン付きのヨットを使用したのだが、船舶免許がないためにエンジンからプロペラ(スクリュー)を結ぶシャフトを切断したのだ。もっと言えば日本の“船舶免許”という障壁のためにわざわざプロペラシャフトを切断するといった危険行為をしなければならなかった。つまり“決まり”が危険行為を促進させたのだ。
 「緊急の場合を除いてエンジンは使わない」という制約でも書かせて特例でも認めればいいのに、日本では決まりが危険行為より優先されるようだ。
 ある日、小型船舶操縦免許を発行している日本の役人と話したことがある。第一に小型船舶に免許制度は必要ないということ。次に百歩譲って小型船舶に免許の制度を維持するならば、傷害の有無ではなく、操船の可否及び責任の所在がはっきり出来る者にして欲しいと。
 役人は答えた。「海外に免許制度を作っていない国は確かに多いが、実際は保険に加入しなければならず、それが障害者だった場合は保険金がべらぼうに高く、実質上、障害者は操船できないのと同じなんですよ」。
 この答を聴いた私は悲しくなって反論する気にさえならなくなった。何故なら問題の本質をこの役人はわかっていない。法によって解決できる道筋を閉ざされているのと、お金で解決できるのとではまったく違っている。
 確かに自己責任が取れない日本人には免許制度も致し方ないのかもしれない。過去、城ケ島を一周するOWS大会を私は開催していた。この時に「大会中のいかなる事故発生においても、当大会実行委員会は一切の責任を追わない」という誓約書を参加者に書かせても、裁判になると大会主催者側に過失責任が問われる変な日本の構造。これではいつまで経っても日本人に“自己責任”育つわけがない。そこには、国の天下り管理者がそうさせない努力をしているからだとも思っているのだが。。。。。

 最近(平成26年4月1日以降)、身体障害者への小型船舶操縦免許取得枠が変わった。詳しくは「小型船舶操縦免許」及び「小型船舶操縦士身体検査基準表(船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則別表第9)」をご覧いただきたい。

 更に最近では動力船であっても次の要件に満たされた船ならば小型船舶免許も船舶検査も不要で操船することが出来る。つまり障害者でも子どもでも可能になった。
要件:“船の全長×0.9=3m未満”に2馬力未満の船外機をセットされている舟。但し2馬力未満の船外機には非常停止スイッチ、キルスイッチ、遠心クラッチ、中立ギア、プロペラガードなどどれか一つ有することが必要。

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