8月27日(キン)

寝ていると外の雰囲気が静かである。トイレに行き電気を付け外を見る。風が無く、木が揺れていない。『もしかして泳げるかもしれない』と思ったら、ドキドキして寝むれなかった!
昨日の夜は山菜うどんを二人前作ったが、ヘソ曲がり、ご機嫌ななめのコーチは「要らない!」と言うので、その二人分を全部私が食べた。お陰で朝までお腹が減らず、またもや朝食はヘルシーにパンと生野菜と、昨日のうどんの汁をスープ代わりにすすった。まあナメコも入っているのでドロドロして美味しいよ。
今日の予定は北海道新聞函館支社の記者、石井さんと函館市民プールで10時に待ち合わせし、取材を受ける。
プールで泳いでいる写真も撮るって聞いたから、早々とムーイ(宿)を出てプールへ向かう。
津軽を泳ぐ計画が予定通りなら、今日は青森の小泊へと移動の日でもあり、朝、船頭さんの安宅さん宅へ電話をして確認したが、「まだ様子を見る」と言う返事だった。だからまだ泳げるかどうか具体的には何もわかっていない状態だったが、それを押しての取材になる。
だが、プールの帰りにまた安宅さん宅に寄って、再び確認しようと、プールに足を運んだ。
調度クルマを降りて歩いているところに石井さんも来られ、ロビーで私の経歴や、どうして津軽? とか、ドーバーと比較してどうか? とか、抱負は? とか聞かれ、それからはプール撮影で終了した。
プールでは私の水着を見てか、「この格好、この水着で今回も泳ぐのですか?」と聞かれる、「はい、そうです。うちの会社の人達が、どうせ泳ぐなら'フジタヤ'のネームを入れりん!」と言われ、「新調した水着なんです。」と答えた。
海で使う水着は身体にラノリンを塗るため、直ぐに着られなくなってしまう。だからプールで何回も着た中古水着を海では着るのだが、それは仕方たがない。新品水着で海を泳いでみたいが、経済的にそれは困難だ。
この日もロングを4km泳いだが、昨日よりは調子が頗る良かった。
予定通り帰りに安宅さん宅に寄るが、「今日は無理」ということで、3時間ぐらいいろんな話しをした。
噂によると、FMラジオで「24時間テレビで目の見えない16歳の女性を、ドーバー海峡や津軽海峡を泳いでいる人がサポートする。」と言ってたらしいが、私は船の上でのサポートで泳ぐことはない。
30日に'海で泳ぐ心構え'を話すぐらいで、私はサポートする以上、最後までしっかり応援するつもりである。
安宅さんが「お風呂に入ったら晩御飯を食べにおいで!」と誘われ、言われる通りにお風呂(湯々館:ムーイに隣接している温泉保養施設)に入ったのだが、地元の常連客は、色の黒い(毎年津軽を泳ぎに来る)私を覚えていて、一方私と言えば、あの大勢の女性の中で顔を覚えられない人もいる。ところが最近は「もう泳いだか?」とか、私が津軽海峡を泳ぐ泳者だと言うことを知られてきていて、『毎年毎年函館に来て、顔なじみになったもんだ』と思うと同時に、覚えてくれていて、とても嬉しい気持ちで溢れるのだ。
まさに裸のお付き合い。4年間連続でお会いして話しをする女性にも、今日やっと会えた。
一年に一回しか会わなくても、会えないと『どうしたんだろう』と心配になる。
またもや'井戸端会議'ならぬ'風呂端会議'で長くなり、石井コーチに「いつまで入っているんだ!」と怒鳴られる。
安宅さんの奥さんからも電話が入り、「迎えに行くから」と言われて、ドーバーのビデオを持って出掛けた。
安宅さんファミリーのいつものメンバーに囲まれて、'残念会'が始まった。
面白い話しっていってもキンだけかも知れないが、ご当地浜町では、海と山の間の海沿いに主な道路が走っているが、波が荒い時は道沿いにもザブーン、ザブーンと波が打ち寄せる。だから時たま昆布、海藻などが打ち上げられ、「こういう所で『セルシオ』なんて高級車なんかに乗ったら、すぐさま『アジシオ』になってしまうよ!」と聞かされて大笑い。『確かだな』と納得してしまった。
だから私は逆に、私の旦那さんが乗っているクルマが'エルグランド'なので、「私の旦那さんは'エスグランドだよ!'と言ったらけっこう受けていた。
そしたら「女性に'ビールはどこの銘柄が好き?'と聞かれたら、'あなたのクチビールが好き!'答える」と、またオヤジギャグが飛び、宴会が盛り上がる。
まあ漁師さんだからいろんなハプニング話にも華が咲き、ドーバーのビデオもやはり漁師さん、どんな船か、操舵室とか、見る所が違う。
「ドーバーのボートは、何処のエンジンを使っている?」と聞いてくると、石井コーチは「ボルボとヤンマーが同格にあって、船内機はそれらが多い」と答えていた。
船のエンジンには興味の無い私だが、やはり「一般の人とは質問の内容が違うなぁ〜」と感じ、来年にビデオを撮る時は、泳者だけではなく、もう少し船に関した所も撮ろうと感じた。
また久しぶりに自分のビデオを見たが、私たち日本人が今ビデオを見ており、外人、つまりパイロットやオブザーバーなどが映ると、「まるでビデオの中のこと。自分たちとは別世界」の不思議な感じがしてくる。そしてつくづく「ドーバーは外国なんだ!」と感じた。
宴会の話しは盛り上がり、お母さんの料理もいつもながらの手のこった手作り料理が並び、安宅さんご自身が収穫した昆布を使っての、鰊のコブマキをいただいた。
型崩れがなく、味が染みて美味しい。イカに餅米が入っているイカメシ。サーモンの刺身。私がお土産で持ってきた岡崎八丁味噌を使ってのおでん。唐揚げ。漬物など、美味しくて、美味しくて、多分、毎日泳いでいるものの、幸福太りになった感じがする。
安宅さんの娘さんは私を見て「小さい!」と叫ぶ。まあ横に広いデブなんだが。何だか安宅さんの娘さん、とし子さんには、いつもお会いしているが、面と向かって話すのは始めてのような気がした。
楽し過ぎて時間が過ぎるのが早く、帰ったのは24時であった。
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