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わくわく、どきどき、台風の目。

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「キンちゃんが行く」Vol.20

1. 大瀬崎~淡島間4-way(約10km×4-way)

  • 日付: 2008年5月27日(火)
  • 場所: 静岡県沼津市大瀬崎~同県同市三津淡島(駿河湾)
  • 泳者: キンちゃん
  • 方法: 4-way solo swim
  • 記録: 15時間20分
          1st leg: 04:10 淡島 ⇒ 06:40 大瀬崎 2時間30分
          2nd leg: 06:40 大瀬崎 ⇒ 11:42 淡島 5時間02分
          3rd leg: 11:42 淡島 ⇒ 15:25 大瀬崎 3時間43分
          4th leg: 15:25 大瀬崎 ⇒ 19:30 淡島 4時間05分
  • 天候: 晴れ
  • 気温: 19.9~26.2℃
  • 水温: 19.9~22.4℃
  • 波高: 0.5~1.0m
  • 風向・風速: 主に午前中=東~東南、午後=西 0.9~6.3m/sec
  • 流向・流速: 主に西 0.0~0.5kn
  • ピッチ: 62~64回/min
  • 補給品: 炭水化物、果糖、お茶類(40分毎)
  • 海洋データ(内浦三津)小潮(月齢: 21.6)
       日出: 04:33   干潮: 04:08   0.94m
       日入: 18:49   満潮: 09:04   1.23m
          月入: 10:27   干潮: 16:02   0.45m
                       満潮: 23:16   1.38m

2. モチベーション

P52700012 今回の海練習は「淡島~大瀬崎4-way(約10km×4回=40km)」。ここ淡島~大瀬崎間は私のホームグランドではあるが、4-wayは初めて泳ぐ。
 最近の海練習は10時間以上(3-way)の練習が多いので何ともないが、私の予想は“14時間”だったのに、コーチは「16時間(3、4、4、5)だ」と言う。もう少し詳しく書くと、淡島からスタートの場合は“3、4、4、5時間”。大瀬崎からスタートしたら、“4、4、5、3時間”だと言う。「同じ16時間だから、港に近い淡島スタートのほうが良いだろう。」と淡島スタートになった。ただこの“淡島スタート”の問題は、「19時頃から2時間くらいは強い逆潮になるので、“前に進む”どころか、“バックする”かもしれない。」とコーチは言っていた。スタート時間を30分から1時間くらい遅らせたほうが前半は良いのだそうだが、そうするとどうしてもこの“強い逆潮”に入ってしまうので、とりあえず空が明るくなり始める“4時スタート”となった。
 “淡島~大瀬2日で6-way”でコーチの予想がかなり的中したせいか、調子に乗っていろいろと調べては一人ブツブツ言っていた。だがいずれにせよ自分の予想とは違い、頭の中を“16時間”に切り替え、『16時間かぁ~、ドーバーの片道より少し長めかぁ~』と、またもや私の心の中は不安を横切っている。
 しかし「私には泳げる力があるんだ。何故、不安なの?」と問い質す。だが分からない。何故だか分からないが、泳ぐ気分が乗って来ない。三島に向う新幹線に乗って、本当は原稿を書かなければいけないはずが“ボーっ”とし、目の前にある流れる字幕に目を見張っていた。すると“三浦雄一郎、75歳でエベレスト登頂。涙が出るほど厳しくて、辛くて、嬉しい。”と出ていた。『ああ、良い言葉だな。よく着る私のTシャツ(CS&PFで買ったもの)にも書いてあるが、'Nothing great is easy.'(偉大なことで、簡単に手に入るものは何もない。)と、自分に忘れかけていたものを思い出し、元気になってきた。「失敗は許されない。私は泳げるんだ!」と、気持ちを新たに変え前向きに持もていった。人間ってひょんなことで変わるんだよなぁ~。

3. 民宿「桂」

P5270005_2 定宿の民宿「桂」では、私の行動の流れはほとんどわかっていて、ご主人と女将さんにはよくわがままを聞いてもらう。ポットも3本、電気ポット1本、海練習から帰れば「早くお風呂に入りなさい」と、優しく出迎えてくれる。お世話になりっぱなしである。
 今日は何故だか明日のために、「お肉が食べたい。何でも良いからお肉料理を作って下さい。」とお願いした。するとお肉を焼いて持って来てくれた。『明日はこれを食べれば大丈夫だな!』と、栄養補給を作りながら食べた。17時30分頃、いつもお世話になっている漁師の菊地さんの家に明日の打ち合わせに行き、“朝3時30分港集合”にした。16時間もかかる大仕事。自然相手。もしかすると16時間以上かかる可能性もあるからだ。「よ~し、今日は早めに寝て、明日の体調を満点にしておこう!」と、20時には床に入っていた。何故なら、起床は2時30分だからである。
 石井コーチはいつものように仕事を終えてから来るので「桂」に到着は21時を過ぎている。それからビールを飲みながら夕食を取り、私の作った栄養補給に使い捨てカイロをベタベタと貼っていく。そして撮影機材の充電や明日の準備に追われるのだが、私は夢心地で何となくそれを知っている程度で寝ている。
 問題は朝に起こった。栄養補給は“マキシム”と呼ばれる炭水化物の粉末と“果糖”をお湯で溶かすが、原液は2倍の濃度で作っておく。ちなみにマキシムには味がなく、これでは果糖でただ甘いだけのモノになる。そこで次に味付けでお茶や紅茶を入れて還元する。出来上がった栄養補給品は「プラティパス」と呼ばれる、医療用の点滴の柔らかい容器のように作られた水筒に入れる。プラティパスは15個あり、40分に1回ずつ補給するので、10時間分の栄養補給を私は作ったことになる。ところが予定完泳時間は16時間。差し引き6時間分の栄養補給品は作ってない。
 石井コーチから「6時間分(9個分)の栄養補給を作っておいてくれ。そしてそれ(原液)をペットボトルに入れておくので、空いたペットボトルも用意してくれ。」と言われていたのだが、どうもよく理解できないでいて、ペットボトルを用意はしたが、栄養補給の原液6時間分は作らないでいた。
石井コーチ「キンちゃん、どれが栄養補給?」
と聞かれ、
キン「??? 何も作ってないよ。」
石井コーチ「えええええええ!!!!!!」
と飛び起き、ブツブツ文句を言いながら6時間分の栄養補給を作り始めた。
 結局、そんなこんなで港に着いたのは10分の遅刻。『もう少しコミュニケーションをしっかり取っておかなければいけないな!』と反省した。

4. ケミカルライトとフラッシュライト

P5270008_2 港に着いてもまだ暗かったが、淡島に向かう途中、徐々に明るくなり始める。今回は水着にケミカルライト、スイミングゴーグルにはドーバー(CS&PF)で買ったフラッシュライトを装着する。このフラッシュライトはウルトラマンが胸につけている、時間がなくなるとピコピコなりだすような容姿をしたもので、スイミングゴーグルのゴムに挟んで後ろに付けた。
 『これを作った人はよく考えたよな』。これだと頭に当たる部分が頭にジャストフィットするような形になっているので、頭が痛くならないからである。ケミカルライトは長時間、頭に付けていると痛くなってくる。そう、物によるかもしれないが、背中に付けるのも長時間だとフックで背中が擦れ、痛くなるのだ。やはりフリーダ(CS&PFの水泳アドバイザー)のいるドーバー。『長時間泳ぐ人のことを、さすがに理解しているなぁ~』と思った。
 ところで私は海で長時間泳ぐとき、身体にラノリンを塗る。ラノリンは羊毛から取れる脂で、それを精製したものだ。一般にオープンウォータースイマーはワセリンが使われているようだが、ワセリンは石油から精製して取れる脂で、ワセリンもラノリンも化粧品や薬品の機材として使われている。
 ちなみにワセリンやラノリンなど身体に塗る脂類は、“保温用”としてではない。海水はプールの水のようにサラサラしてはなく、ベタベタしているので長時間泳ぐと腋の下や首周りなど、擦れてしまうから、その“擦れ止め”として使用するのだ。
 使い心地としてはどちらかと言えばワセリンは“サラッ”としていて、ラノリンは“ベタッ”としている。ただワセリンよりもラノリンの方が長持ちする。ただしその分、落とすのはたいへんで、ラノリンのついた水着は2~3回着るのが限度。あとは“ビロ~ン”と伸びてしまう。
 で、石井コーチはCS&PFのセクレタリー、マイクから“チャネルグリース”の作り方を教わったらしく、ルンルン気分で作っていた。“チャネルグリース”とはドーバーを泳ぐスイマーが塗る脂で、何だかワセリンとラノリンを混合して作るらしい。
 ま、きっと私がコーチの作ったチャネルグリースの実験台になるのだろうが、今回はラノリンをタップリ塗ってもらって臨んだ。

5. 前半(ベストとワースト)

P5270012_2 1st legは4時10分に淡島をスタートし、1回目の補給で丘を見ると、西浦小学校が見えた。いつも始めの補給の位置確認をしている。泳いでいても潮が私を押してくれているのがわかる。『向かい風だが、今日は良い記録が出るぞ!』と確信はしていたが、何せ4-way。慌てない、慌てない。マイペース、スロー気味で力を抜いて泳いだが、2時間30分で大瀬に着いたのはベスト記録である。伴走船に乗っている人たちも気持ちが良いであろう。
 2nd leg、大瀬崎を6時40分に折り返し、コーチの予想だと4時間。同じ時間を私の頭にもインプット。
 でも行きがこれだけ速いと帰りは向かい潮。難儀をするだろうと考えていた。『でも追い風になるから風が助けてくれる!』と、“遠泳中”の旗を見る。『なに~、また向かい風に変わったじゃん!』。いつもそうだ。『楽して淡島まで連れて行ってはくれないな』。たまに息継ぎしながら丘を見る。“西浦みかん(JAなんすん西浦みかん共同選果場)”の白くて長い建物が見える。行きだとあと40分の地点。帰りもそう思いきや、そこから2時間もかかっている。そう、5時間02分もかかって淡島に到着したのだ。これはワースト記録。ベスト記録とワースト記録が同時に出てしまった。
 コーチの予想した3時間、4時間とちょっと違い、2.5時間、5時間は、それだけ潮が速いのであろう。いずれにせよ以前のような赤潮もなければクラゲも激減していた。また、海の色も“青い”というより、少し“濃い”色をしている。“汚い”という意味ではなく、透明度は青い方が良いのだが、漁師さんに言わせると「濃い色の方が魚は獲れる」のだそうだ。まあこのような色は“夏の海の特徴”だそうで、菊地さんは「やはり5月でこんな夏色の海はやはり異常だ」ともこぼしていた。
 そういえばいつもより海鳥が多い。ということは魚も多いのであろう。暖かくなって魚も鳥も活発になってきたのかな? いずれにせよ天気は良く、水温も20℃以上に上昇している。活発になっているのは魚、鳥、キン。

6. ミズナギドリ

P52700202 この時期になるとミズナギドリが現れる。ミズナギドリは渡りをする海鳥で、5月頃になると南の国から駿河湾にも飛来する。地元では「バカ鳥」とも呼ばれ、竿などで海面を叩くとその“バシャバシャ”する泡が“魚だ!”と思うらしく、すぐに寄って来る愛嬌のある鳥だ。操業中の漁船や釣船の周りには「必ず」と言って良いほどミズナギドリは集まっている。
 ところでクロールのキックが強いのが私の泳ぎの特徴だが、その“バシャバシャ”する泡を、まるで“魚の群れが飛び跳ねているよう”に見えるらしく、ミズナギドリは私の足をつっついてくる。
 今日は泳ぐ私の前にたまたまミズナギドリがおり、プルの手でその鳥を偶然キャッチしてしまった。鳥も生きている。温かい温もりを感じた。キンは「何か触った~!」と叫ぶ。船からは「ミズナギドリだぁ~」と大笑い。そういえば2006年5月13日の海練習でも大笑いのシーンが::::::::(「海鳥とスイマーのアクシデント」)
 実はこの撮影には“主目的”があった。それは泳ぎで出来る泡を追って始めは8羽程度の群れが私を追いかけるのだが、泳ぐスピードは少し私の方が速い。するとその群れは少しずつ長くなって一列になる。最後になった鳥は飛んで来て私のすぐ後ろに着水する。しばらくすると再び列の最後の鳥が飛んで来て私のすぐ後ろに着水する。これを繰り返すわけだが、それが可愛くて面白い!
 写真ではなかなか難しいのでデジカメの動画機能を使ってコーチが撮影したら、まあ気の短い性格の鳥だったのだろう。「すぐ後ろに着水するのは面倒だ。前に着水してやれ!」と・・・。それがたまたま撮れちゃったのだ!
 いちおう今度「動画コンテスト」があったら“ハプニング映像”として出品してみようと思っている作品なのだ。
 このように海には鳥も魚も生息している。前は赤潮と巨大赤クラゲも見たし、まあクラゲは勘弁してもらいたいが、鳥との遭遇も経験した。同じ海なのに季節によってまったく違う顔をする。だから海って面白い! 毎回、毎回、泳ぐたびに違う顔を知る。それはきっとほんの少しの自然なのであろうが、その少しの自然を垣間見ることによって感じる思いは大きい。もちろん主目的は「泳ぐこと」であるが、このように自然に触れることが“副目的”にしておくのはもったいないほどの大きな感動がそこにある。

7. キンちゃんのSwimと睡夢

P52700272 淡島を11時42分に折り返し、3rd legに入る。流石に天気が良く、釣客が私の目に移る限りでは3名が麦藁帽子を被っていた。しかし今日は桟橋から少し離れていたため、手を振らずにいた。
 淡島のホテルでは調度お客さんが帰ったころであろう、部屋の掃除をしている従業員らしき方がベランダに出て、多分私を見ていたと思う。自分自身、周りを見渡しても私より綺麗な人はいなかったからである。
 それにしてもトドの水着姿は見たくなかったかもしれない。もっと色が白く、背がスラッと高くて痩せていた方が見る人たちは喜ぶに違いない。チビ、デブ、ブス、おまけに真っ黒ときている私はトドに間違えられてもしかたがない体型。
 ところで最近「何で“キンちゃん”なんですか?」と聞かれる。ここで明かすのは初めてではないのだが、その由来はこの体型と眉毛にある。眉毛が真っ黒に太く、金太郎の体型に似ているからつけられたあだ名だが、実は家業が和菓子屋で「フジタヤ」という屋号。だが前は「金太郎」という大判焼きとミタラシダンゴの店を開いていた。父親ガ私の眉と体型からつけた屋号だったが、今では経費の関係で「フジタヤ」に替え合併した。
 前おきが長くなったが、今の体型はさらに金太郎に近いドーバースタイル。しかしこれでも外人に比べれば子供である。
 大瀬崎に向かい、少しの間は追い風、追い潮で戯れていた。しかしそれも束の間、『どうしてこうもかわるのか?』、案の定、向かい風に変わった。
 スタートして8時間ぐらい泳いだ所で突如、睡魔が襲ってきた。今まで順調に泳いできたのに、『どうして今頃?』と思うが、あくびが止めどなく出て目が閉じてくる。『眠たい、眠たい、飴でも舐めようか?』
 少しの間、目を閉じて泳ぎ、船の方に息継ぎする時だけうっすらと目を開ける。スイミングゴーグルはクリアなので、私が目を閉じているのがコーチにも菊地さんにもわかってしまうからだ。頭は『眠たい、寝たい』という気持ちが他の何よりも勝っているのがわかる。一生懸命“金太郎”とかを考えるのだが、気が付くと眠っている。だが手と足は自然と動いている。不思議なものだ。
 だがあとから聞くとコーチは感づいていたようで、私の泳ぎで寝ているかどうかわかるようである。それにしてもスイミングゴーグルは、睡夢ゴーグルに変わって行った。すごく辛かったよ。『眠気さえこなければ!』と。
 『誰かが後ろから“バッ”とびっくりさせてくれれば起きるんじゃないか』と思ったり、コーチに「加山雄三の歌でも歌って!」と何回か叫ぼうと思ったりした。「もう少し泳ぎに集中すれば眠たくならない」と言ったが、なかなか難しい。
 高橋コーチのコメントの言葉を思い出す。「自分のため。これが最後だと思え。次はない!」と。何回と何回とSwimと睡夢の繰り返しで、身体は動くのに睡夢でやられそうになった。が、これを乗り切った後にはもう大瀬崎に近づいていた。3時間43分、Swimと睡夢の辛い出来事だった。

8. トルネードは魚の群れの形

P52700422 大瀬崎15時25分折り返し。段々と気温も水温も暖かくなり、丘に上がっているダイバーの姿も多くなってきている。泳いで来て、花の香も感じ、季節感を感じていた。
 いつもなら3-wayで終わるが私の頭のインプットは16時間。自然にまた何も考えずに泳ぎ出す自分が不思議であった。『嫌だな、あと1-way残っている』と思わず、『残り1-way、頑張ろう!』という気持ちでスタートした。何のためらいもない。『私には泳げる!』としか考えていなかった。
 泳ぎ始めて急に下から泡が吹き出しビックリしたら、今度は大粒の泡が! 『プランクトンの死骸が現れたのか?』とビビッたが、すぐに冷静になり『ああダイバーの泡か!』と気付き、安心した。
 本当に急に現れるものには、お化けではないが、例えゴミ袋一つ沈んでいてもビックリするものだ!
 途中、エンジンオイルの臭いか? 油臭い臭いが漂う。船のエンジントラブルか? 菊地さんが携帯で何かしゃべっている。それにしても船は動いているよな。30分ぐらい臭い臭いが続いたか?
 後から聞くと他の船が油性ビルジ(船底にたまる汚油)を海に流したらしい。これは法律違反だそうで、菊地さんがその現場を押さえ、知っている船なので携帯から警告していたらしい。菊地さんは気を使ってなるべく私を油分が少ない所を誘導してくれたみたいだが、コーチのオナラより臭かったのは言うまでもない。
 また睡魔が訪れる。今度はコーチに「眠い、眠い」と泳ぎながら息継ぎの時に告げる。するといろんな手段で私と遊び、眠気を飛ばそうとしてくれている。有り難いことだ。まあ少しの間だったが非常に眠たくなった。
 またもや急に魚の群れが突然と! 30cmはあるタラの群れだそうだが、トルネード(一般に小魚の群れは全体で“球体”になろうとする傾向がある。しかし何らかの刺激などでその球体は崩れ、いかようにもその群れの形は変化する。トルネードとは“竜巻”の意味だが、ここでは野茂英雄投手が「トルネード投法」と呼ぶ独特のフォームで大活躍したことから、このボールがマンガチックに変化する様子を思い浮かべ、これが小魚の群れの変化に似ているところから、魚の群れ全体の変化を「トルネード」とダイバーの間で呼ぶようになった。)を繰り返し、私の目の保養をしてくれる。それは船上からでもはっきりわかるようで、前でも後ろでも横からでも、まるで私がキックをしているかのようにバシャバシャと音をたてていたらしい。それは海に出ないとなかなか見られない光景だそうだ。
 最近、泳いでいても頭の中はあまり考えないことにしている。インプットしたこと以外は考えないようにしているが、この日は『海老天が食べたい!』と願っていた。
 時刻が遅くなるに連れて栄養補給も熱くなり、すぐに飲めず時間がかかりだす。まあ熱い栄養補給は海水に少し漬けておけばすぐに冷えるので問題ないが、私のリラックスタイムが始まりコーチと遊び出す。飲んだ後のプラティパスをすぐに離さずに引っ張りっこしたり犬掻きしたり、『後1-way泳げば終わりだ』と思うと余裕が出て来てしまっている。
 まだ夕暮れなのに「次はケミカルライトとウルトラマン(フラッシュライト)をつける!」とコーチが言い出す。キンは「まだ明るい!」と叫ぶが、コーチは富士山のような白髪頭が殺気立ち、「うるさい!!」と目の色を変えたように怒り出す。
 しかしいつも前もって行動しているコーチには本当に“右へ習え!”だよ。案の定、明るいうちに着く予定が、コーチの予言通り、19時頃から潮がまた変わり、“淡島まで後500m”のところから“後400m”のところまでの100mを、何と20分もかかったから。プールで泳いでいたら1,000mは楽勝に泳げる距離だよね。コーチはGPSを見ながら『まだ時間がかかる』と船上で片付ける用意をしていた。
 その一部始終を泳ぎながら見ていた私は『またコーチが言い忘れたのか?』と思いきや、ちゃんと「400(m)!」と言っていたよ。まあ暗かったので岩が多い淡島では丘には立たなかったが、4th legは4時間05分掛かって無事に淡島に到着出来た。19時30分。4-wayの合計は15時間20分掛かったのであった。

9. 泳ぎ終われば

P52700602 船に上がり、やはり気温が高いせいか帰る服装も変わってきて、検査着だけで寒くない。ただ眠いだけであり、キンは、「眠い、眠い」と叫んでいた。
 桂ではご主人が待っていてくれ、「今日はどうだった? 無事完泳出来ましたか? クラゲはどうだった? 水温は? 早くお風呂に入りなさい。」と、心配して待っていてくれ、私を導いてくれる。優しい人だ。
 お風呂に入りながら後片付けをし、菊地さんの家で打ち上げだが眠たさに勝てず、私は子供のように寝ながら食べ、寝ながら話しをし、寝ながらビールを飲んでいた。まるでコーチに眠り薬でも飲まされたみたいだ。いつものような余裕が全くなく、せっかくの御馳走も半分ぐらいしか食べられなかった。ただ、泳ぎながら夢にまで出てきた“海老天”がテーブルの上に乗っている。最近、私の夢は正夢になる。海老天だけは全ていただいた。
 菊地さんは「美幸ちゃん、今度は夜間泳をやろう!」と言ってくれた。有り難い言葉である。菊地さん夫婦を私は本当のお父さん、お母さんだと思っている。いつもありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
 翌日、菊地さんの計らいで昼ご飯をフコク生命の方二人と食事をすることになった。それはこのお二人が菊地さんのお知り合いと、地元小学校のPTA会長をしていらっしゃったからだ。菊地さんは4年間私を見続け、みんなに頑張っている人がいることを地元の人に報せようと、西浦小学校の校長先生、教頭先生にもお会いし、10月6日に講演をすることになった。
 皆さんの前で私がお話しすることを、凄く楽しみにしている。家に着いてからも、「私の今までの感じたこと、経験したことを素直に話そう!」と独り言を言っていた。何だか私のファンクラブが出来た気分だった。キン、コーチと一緒にいい講演するからね。お楽しみに。

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