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「キンちゃんが行く」Vol.15

   1. アイランドスイム1-way(約22.5km)

  • 日付: 2008年2月11日(月)
  • 場所: 神奈川県三浦市三崎町城ヶ島~同県藤沢市片瀬西浜(相模湾)
  • 泳者: キンちゃん
  • 方法: 1-way solo swim
  • 記録: 6時間30分 葉山沖にてリタイヤ
  • 天候: 晴れ
  • 気温: 2.0~9.1℃
  • 水温: 13.5~14.2℃
  • 波高: 1.0~1.5m
  • 風向・風速: 主に北東 2.4~7.2m/sec
  • 流向・流速: 不明
  • ピッチ: 65~68回/min
  • 補給品: 炭水化物、果糖、お茶類

   2. 出船

 今回は城ヶ島⇒江ノ島1-wayの予定で石井コーチが計画を立ててくれた。
 船頭さんは初体験で「松本さん」と言う。
P21100012 2月10日、16時30分頃、松本さんの所属する鎌倉市の腰越漁協に行き、顔合わせと共に打ち合わせ。パッと見、松本さんは優しそうな方だった。そしてこのとき眞壁さんから電話が入り、明日、一緒に船に乗ってもらえることを知り、会える喜びと、「もう一人船から見てくれるんだ!」という嬉しさで、私の泳ぐ意欲は増していった。
 打ち合わせは集合時間やクルマの置く場所、その他簡単なコース取りなどの確認程度で素早く終えて、別れた。翌日は5時30分に集合だから、早く夕食を取って、早く就寝するためである。
 睡眠薬(?)のビールと夕食を取ると、満腹に張ったお腹はすぐに瞼(まぶた)を弛ませ、19時にはお布団の中に潜った。栄養補給作りは明日の朝にしよう・・・。
 2月11日(月:建国記念の日)は4時に起床。「お~いお茶」味と「紅茶」味の栄養補給品を15個作り、使い捨てカイロをベタベタ貼り、保温バッグに収納する。大小2つの水筒には熱湯をタップリと入れ(これはコーチたちがカップ麺を食べるとき用)、準備は万端整った。
 バタバタとはしたが、石井コーチが持ってきてくれた電気ポットが大活躍。おかげで集合時間の5分前には腰越漁港には着いていた。ほぼ同時に松本さんも到着し、荷物を船に運んだ。その直後、眞壁さんも到着。6時16分に、今回の伴走船「寿丸」は城ヶ島に向って出港した。
 港内はこれから出ようとする釣船がたくさん。私たちが荷物を運んでいるときも、釣師たちがひっきりなしに港内を歩いていた。「コーチ、こんなに船がたくさんあるよ。私、こんなの見たことがないから写真撮っておいて!」と頼んだら、「アホ~、こんな暗いところで撮ったって、フラッシュが届くわけないだろう!」と言われてしまった。

   3. 寒さと冷たさと

 港内では気温1℃、水温11℃。“マジィ~?”と思いながら船は港を出て行く。操舵室にはいくつかのディスプレイがあり、その中の「魚探GPS」の画面にある温度計の数字を私はチェックしていた。だいたい13~14℃でしたよ。
 「まあこの間、淡島~大瀬崎の水温が14℃だったから、泳げないことはないだろう。今日の予定は8時間。普段なら何気なく泳げる時間だ。だが気温が異様に低いなぁ~・・・。」と考えている。船で城ヶ島へ着くまでの1時間が、とても寒かったからだ。
P21100032 船は城ヶ島に到着。白と赤の灯台が見え、釣客も見え、私は心を弾ませていた。また今回のビデオ撮りのカメラマンは眞壁さんで、石井コーチが私にラノリンを塗っているところもしっかり撮ってくれた。それでも服を脱いでいく度に寒く、風が無くて良かったと思う。このときの気温が2℃。石井コーチはいきなり「コーヒーを飲むのにちょうど良い。」なんて言い始めた。みんな「???」という顔をしていると、「“ニド”クリーミーパウダー。」なんて言った。もう私はそのくだらない“オヤジギャグ”に唖然としていた。
 釣客は水着になった私の姿をどのように見ていたであろうか? まさか“泳ぐ”なんて思っていないと思う。「せめてウェットでも着て・・・」と思っているに違いないが、私のは“ウェット”じゃなく“ファット(脂肪)”だよ。しかも自家製の黒い色の厚さが10mmもあるとても暖かいやつなんだ。そんじょそこらには売っていないんだよ。と言わんばかりに船のはしごから下りて行った。
 このとき指がはしごに挟まり、
キン「コーチ、コーチ、指がはしごに挟まった! 痛い、痛い!」
松本さん「大丈夫だ! ほら!」
とはしごをずらしてくれた。「いたたたたた」と海へ飛び込み、丘へと向った。陸に上がって指を見ると「あ~、傷になっとる! 痛い、痛い!」と独り言。
P2110006_2 何だか眞壁さんは釣客としゃべっている。船に掲げた「遠泳中」の鳩を見て、
釣客「何処まで泳ぐのですか?」
眞壁さん「江ノ島までです!」
釣客「えええええええぇぇぇぇぇぇ~~~~~~!!!!!」
キンは寒いから早く泳ぎたく、さっきから手を上げているのに、「早くフォーンが鳴らんかな?」と待っていた。やはり水着1枚に気温が2℃は寒い。泳いでいる方が暖かく感じる。
 「パァ~~~~~~~~~~!!!!!」
 ようやくフォーンが鳴り響き、水中へ入る。船に近付こうと泳いで行ったら、「あっちの水路から出なさい。」と指示を出され、一人で先に泳いで行った。「ん? ちっとも船が後ろからついてこない。どうしたんだろう? まあこの城ヶ島は泳ぎ慣れているので、まずは赤灯台を目指して泳げば良い。」
 寒いので止まりたくはない。ひたすら泳ぎたいのである。「ああ、赤灯台が見えた!」と思うや否や、前方に大きな船が通過して行った。「ああ、危ないじゃん! 船がおるじゃん! もう、他にはおらんのか!?」と呼吸をしながら周囲を確認。「見えた、見えた! 後ろから“A旗”を掲げた船が!」やっと私に追いついたのである。
 「何をしていたのだろう?」と後で聞くと、松本さんがオシッコをしていたらしい。どうもキンがいたので出来なかったそうだ。眞壁さんは私のそばを大きな船が通過して行くのを見て、「早く船を出してください!」と言ったらしい。
 灯台を出て緑色の灯浮標を左に見る。右は防波堤のテトラを見ながら「今日のコースは“岸沿いに行く”と言っていたなぁ~。」と確認していた。それにしても船は私の後ろからついてくる。「まあここは何回か泳いだから出て行き方はわかるが、そこから先はわからんよ。」と思っていると、石井コーチも盛んに“船と泳者の位置関係”について説明しているようだ。
 まあまだ船は私の前に行ったり、後ろに行ったりだが、順調に進み、40分毎の補給。やはり唇が悴(かじか)んでいる。プラティパス(栄養補給用水筒)が膨らませられない(プラティパスは飲み終わった後、沈まないように空気を入れる)。普段は水中で絞り込んで飲み、次に水上で膨らませてから上を向いて飲む。何てたって「栄養補給は10秒以内に!」と言われているので、この方法が1番早く、全部飲み干すことが出来るのだ。しかしこのときは“プラティパスを上に向いて膨らませて”の膨らませることが出来ない。そのときは諦めていた。
 次の補給からは水中でなるべく搾りに搾り出して飲み、そこで膨らませたら、すぐに終わらせることが出来るようになった。人間、咄嗟になれば何とかするものである。
P2110011_2 「あれ~、石井コーチが操船しているよ。ウン、とても上手だよ。松本さんは何をしているのかなぁ~? ああ、ご飯食べてるじゃん! 眞壁さんはビデオを撮っているなぁ~。」、「風が出てきてみんなたいへんそうだなぁ~。きっと船も寒いんだろうなぁ~。」と船上ウォッチングを楽しんでいた。フと前を見ると、江ノ島がクッキリ見える。こんな距離まで来たんだなぁ~。
 しかし何だかわからないが、ずぅ~っと寒さを我慢して泳いでいた。
眞壁さん「寒いか?」
キン「寒い!」
2時間40分、3時間20分と経つと、淡島~大瀬崎を思い出し、「ああ、今頃大瀬崎に着く時間だなぁ~。1-wayが終わって2-wayに入ったところだ。残り、頑張らないかん!」と思っていた。
 “寒い”とか“足が痛い”とか考えると、どんどん自分が弱くなって行く。逆に“楽しいこと”、“嬉しいこと”を考えると、“寒さ”も“痛み”忘れてしまう。不思議なものだ。ただ問題はこの“不思議なもの”も、“長続きしない”という欠点がある。
 補給のときに、寒くて
キン「コーチ、一生懸命泳いでいるのに寒い!」
石井コーチ「8時間泳ぎなさい!」
だんだん足が痛くなり止り始めたが、足を動かす努力をする。ストレッチもする。もぅ~、胃も痛くなり始めたか!!??!!
キン「コーチ、上がりたい。寒い。」
石井コーチ「水温は14.2℃だ。泳げ!」
泳ぎ続けるが、ストレッチする度にコーチの方を向き、助けを求める。しかし「クロール、クロール!」と叫ぶだけだ。また私はクロールで泳ぎ出す。と・・・
石井コーチ「後1時間泳ぎなさい。」
この1時間は、私には2時間に感じた。
 波の高さは1~1.5m。向い波だがとても楽しい波で、泳ぎやすかった。
P21100132 フォーンと共に私は船に上がった。上がるときは足が痛くてなかなかはしごに上がれない。手を引っ張ってもらってようやく足がはしごについたのである。こうして寒くて冷たい水温の海練習は終わりを告げた。
 まあまだ泳げば着くであろうが、寒くて我慢が出来なかった。またもやギブアップ。最近の私はギブアップが多い。しかし石井コーチは「今日の場合、レッドゾーンだから仕方がない。」と言う。気温+水温=20℃以下だったのである。「どこまでキンが出来るか見ていた。」と言う。

   4. 水温

 ここに石井コーチの「水温と気温と水泳の関係」を引用して表にしてみよう。ただしここで言う「温度」とは、水温+気温で、摂氏(℃)で表現している。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 入浴ゾーン
80℃ ⇒ お風呂には適温
70℃ ⇒ ぬるめのお風呂?
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ブルーゾーン(適温)
60℃ ⇒ 初心者の水泳、ウォーキングの人に適温
50℃ ⇒ 一般スイマーに適温
(* 一般公開されるプールは、『水温22℃以上、水温+気温=50℃以上』となっている。)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 イエローゾーン
40℃ ⇒ 中学校以上の水泳部員が練習を始める温度
30℃ ⇒ チャネルスイマーが練習をしなければならない温度
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 レッドゾーン
20℃ ⇒ よほど訓練された人以外はやめた方が良い
10℃ ⇒ 危険
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 水温だけを見ると、時折水温を30℃以上まで上げているプールがあるが、これは初心者やウォーキングをする方々に適しているだけで、普通に泳ぐ方がこれではすぐにのぼせてしまう。
 一般に公開されるプールは水温が22℃以上なければならない。また水泳に適した水温は23℃以上、24~25℃。オリンピックの水泳競技などでは24~25℃に調整している。
 ところが中学校以上の水泳部員ともなれば、おそらく春先の水温が20℃ともなれば水泳練習はし始める頃であろう。
 ドーバーは夏でもその海水温は15℃程度までしか上がらず、時に外気は最高気温が30℃以上まで上がることはあってもそれはまれで、最高気温が20℃未満であることも珍しいことではない。特に夜間は15℃以下に下がることもあって、チャネルスイマーは気温+水温=30℃程度でも泳がなければならない。何故ならソロスイマー(独泳)は平均完泳時間が15時間程度であって、平均的な泳力のスイマーならほとんどの場合、“夜間泳”を余儀なく行わなければならないからだ。
Lewisgordonpugh_1822 ただ世の中には特別な人もいて、昨年(2007)7月、イギリス人のLewis Gordon Pugh(ルイス・ゴードン・ピュウ)は北極を1km泳いだ。記録は18分50秒。
 このとき私たちはドーバーを泳ぐためにイギリスにいて、イギリスでは毎日のように彼の番組をテレビで流していたが、日本ではあまり紹介されなかったようだ。
 しかし彼のような真似はあまりしない方が良いと思う。

   5. 反省会

 2月12日(火)、この日は「海練習の予備日」としてとっておいた。もし昨日の天気が悪ければ、今日泳いでいることになる。しかし今日は朝から冷たい雨が降っている。今日じゃなくて良かった。
P21200232 お昼から眞壁さんと「反省会」をすることになった。それまでは石井コーチと「新江ノ島水族館」に見学に行って、イルカのショーや水族館で行われるイベントを観たりしていた。
 その中で私はクラゲが好きである。この“好き”と言っても“観るのが好き”の意味で、一緒に泳ぎたいとはまったく思っていない。“観るだけ”のクラゲは幻想的でとても楽しい。そしてつい、ドーバーで見たイギリスのクラゲを思い出していた。
 お昼に眞壁さんと会うと、日本料理屋さんに入った。しかしここでは「食事がメインでビールなどアルコールは1杯まで」となっていた。ビールが飲めないのではつまらない。つまみとビールを1杯だけ飲むと、さっさとその店は出て近くにあったハワイアンのレストランに入る。そこでビールを飲み、昨日の反省点を出した。
 それはサイパンで私が22時間泳いだときよりも今回の方が疲れは増していた。昨日はホテルに帰ると1時間は湯船に浸かっていた。泳いでいるとき。肩に力が入ったようだ。足も冷たい水の中で痛いのによく動いてくれたね。肩も足もお湯でほぐそう。暖まるには時間が掛かる。「イギリスにも日本のようなお風呂があったらなぁ~。」と脳裏を横切る。
 冷たい水で泳ぐと身体のダメージがよくわかる。「かなり身体に負担をかけていたんだなぁ~。」と思うと、「身体をいたわらなくちゃ。」と思うようになる。たかが6時間30分、されど6時間30分。
 そんなようなことを私は話した。すると眞壁さんは前にブログで書いたことを指摘される。「線路を敷かれた上を泳ぐのではなく、線路は自分で敷いていく努力をすること。」と。「そうだよなぁ~。始めの頃は自分でサイパンのプールに行って練習したり、一人でロングの練習をしたりしていたが、今は全部石井コーチにおんぶにだっこ。しかも“慣れっこ”になっている。
寝ながら泳いでしまうなら、今の生活を変えていかないかん。
もっと自分で決めて、練習をしなさい。
泳いだら早く疲労を取って、次につなげなさい。
Etc、etc。
 ドーバーを泳いだ眞壁さんなら話しがわかる適切なアドバイスをいただいた。
 今度の城ヶ島⇒江ノ島は、「眞壁さんと石井コーチがコース取りを書いて、それを元に水先案内する。」と言う良い案も出てきた。
 今度こそ泳ぎたい。もっと、もっと我慢する。ウ~ン、楽しんで泳ぎたいが、余裕がないのが現実であった。今回は途中でやめてしまったが、眞壁さん、石井コーチ、松本さん、寒い中、ありがとうございました。今度また泳ぐときは、宜しくお願いします。

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コメント

キンちゃんこんにちは
城ヶ島~江ノ島アイランドスイム本当にお疲れさまでした。
久々にキンちゃんの海練習を間近で見せてもらいましたが、あの水温、気温、強風のなかで6時間半も泳げる人は、キンちゃんをおいて他にはいないと思いました。そしてとても感動しましたね。
今回はビデオ撮影を担当させて頂きましたが、強風で風の音を拾ってしまい、又、私の声が小さいのと重なり、解説が殆ど聞き取れずにとても残念でした。
次回はもっとうまく撮影できるように細心の注意を払って、キンちゃんの貴重な遠泳の雄姿を撮りたいと思っています。
危険水温区域での遠泳は、思っているより身体へのダメージが大きいと思います。
私も泳いだ後は、風呂に1時間ぐらい浸かってます。次につなげるために、いかに早く体力を回復させるか、とても大事だと思います。
ドーバー2wayへの道のりはまだまだ、クリヤーしなければならない課題が山積されているようですが、一歩、一歩確実にクリヤーしていってくださいね。
応援してますよ~~~~

投稿 湘南の主 | 2008年2月22日 (金) 20時22分

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