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ドーバー海峡横断泳の歴史

060716_201531_1  ドーバー海峡を英語では「The English Channel」と呼び、ドーバー海峡横断泳の成功者を「The Channel Swimmer」と呼びます。Shane Mageeのウェッブサイト「History of English Channel Swimming」によると、「距離は22マイル(約34km)だけだが、寒さと速い潮流で、10%の人々だけが実際に反対側に行くのを意味します。」となっています。これはおそらくかなり昔のことを言っているのだと思われます。現在は船舶の進歩(リアルタイムの情報収集、データ解析、航行機器の進歩など)、スイマーの向上(栄養補給品の充実、トレーニングに科学の導入、水着の進歩など)により、成功率は60%程度まで上がっています。

 最初の挑戦者はJ.B Johnsonですが、1時間とちょっと泳いだだけで引き上げられてしまいました。その3年後にPaul Boytonは特別なスーツを着用して成功させましたが、公認はされなかったようです。現在のルール(一般的な水着のみで、途中、助けを借りない)で成功させたのは、Captain Matthew Webb(イギリス)で、1875年8月24~25日にイギリスからフランスへ21時間45分で泳ぎました。2回目の挑戦で泳いだ距離は50マイル(約80km)だそうです。

 その後、多くの挑戦者が現れましたが、次の成功者が出るまで35年の歳月が流れました。1911年9月5日、Thomas W. Burgess(イギリス)が2番目の成功者になりましたが、何と13回目の挑戦で22時間35分かかりました。

 1923年8月12日、Enrico Tiraboschi(イタリア)は、フランスからイギリスへ泳いだ始めての男性(16時間33分)になりました。これからしばらくはフランスからイギリスへは好都合な潮のために簡単なルートとして認識されていたようで、世界初の女性チャネルスイマー(史上6番目)Gertrude Ederle(アメリカ)も、1926年8月6日にフランスからイギリスに向かい、14時間39分(当時ベストタイム)で成功させました。しかし現在のデータから見る限り、イギリスからフランスに泳いだほうが平均タイムは速く成功率も高いので、今ではイギリスからフランスが一般的なようです。当然今までのデータから泳ぐ距離は30マイル(約50km)程度まで短縮されており、チャネルスイマーの平均完泳時間は15時間ほどです。

Dcf_0111_1  1950年代に入るとドーバー海峡の横断泳は人気が高まり、老若男女が挑戦するようになりました。そして1wayのみではなく、2way、3wayと挑戦者が現れ、中には43回(2006年現在)も横断泳を成功させ、ギネスブックにも載ったAlison Streeter(イギリス)も現れるようになりました。またこれまでに最初の成功以来、約1200回(800名)程度の人が130年以上前と同じ挑戦を成功させています。尚、2006年までの最速泳者はChristof Wandratsch(ドイツ)で、2005年8月1日にイギリスからフランスへ、7時間03分52秒で成功させました。

 日本人においては1970年に中島正一がフランスからイギリスに向かって泳ぎましたが、途中、スーツを着用したため公認にはなりませんでした。他に、A(氏名不明)は貧乏旅行でとうとうカラケツになり、イギリスに住む知人に借金の申し込みのためフランスからドーバーを泳いで渡った、とあります。この新聞記事によると「夜、星を見ながら泳ぎ、寒さに震えたときは母親の名前を叫びながら泳いだ。」となっていますが、ドーバーを知っている人にはちょっと自殺行為のようにも考えられます。また、「コリアン先生」こと作家、遠藤周作の親戚筋で、日大の柔道部出身のB(氏名不明)がドーバーを泳いだ、との情報もありますが、中島正一は国士舘大アマチュアレスリング部出身で、遠藤周作の親戚筋ではありませんから違う人だと思われます。また1980年以前の公認チャネルスイマーについて調べましたが、残念ながら日本人の明記はありませんでした。公認で日本人初のチャネルスイマーは大貫映子で1982年7月31日に、3回目の挑戦において9時間32分で泳ぎました。以来2006年までに13名(17回)の日本人チャネルスイマーが誕生しています。

 現在ドーバー海峡を泳ぐためのサポートと公認する団体は2つあり、一つは「the Channel Swimming Association(CSA)」で、もう一つは「the CHANNEL SWIMMING & PILOTING FEDERATION.(CS&PF)」です。また、「Marathon and Long-Distance Swimming」のウェッブサイトから「Channel Swimming」をご覧下さい。いずれにせよ公認でドーバーを泳ぐには、公認されたエスコートボートを予約し団体に加盟しなければなりません。また近年はかなり人気があり、ソロだけでも年間100名程度の申し込みがあります。したがって泳者の希望通りの日程が取れない場合があるので、早めに連絡を取った方が良いでしょう。

 参考ウェッブサイトは、上記のほかに「Marathon and Long-Distance Swimming」も使用しました。他にドーバーについての統計は、当ブログの「ドーバー泳とその統計」をご覧下さい。

*参考資料(1)

ドーバー海峡横断泳のデータ(ソロ)
             (1875~2006年6月6日まで)

回数

           英⇒仏  仏⇒英     計
1875~1949年    4      16       20
1950~1959年  13      47       60
1960~1969年  24       51       75
1970~1979年  154     26      180
1980~1989年  199     32      231
1990~1999年  222     23      245
2000~2006年  300     60      360
    合計    916    255     1171回
(内:33回の2-wayと3回の3-wayを含む)

*2-wayは2回とカウントする。
*同人が2回泳いだ場合は、2回とカウントする。

合計人数:806名(男=554名 女=262名)

1875~2004年までの集計
公式で2087回の挑戦があり、
成功が1060回(777名 内:男=530名 女=247名)
失敗が1027回(1-way=997回 2way=27回 3way=3回)

記録

チャンピオン(女性) Alison Streeter MBE (イギリス)43回 横断
キング(男性) Kevin Murphy (イギリス)33回 横断
キング(男性) Mike Read (イギリス)33回 横断
最速(男性) Christof Wandrastch (ドイツ) 英⇒仏 2005年 07時間03分52秒
最速(男性) 仏⇒英  Richard Davey (イギリス) 1988年 08時間05分
最速(女性) Penny Lee Dean (アメリカ) 英⇒仏 1978年 07時間40分
最速(女性) 仏⇒英  Alison streeter MBE (イギリス) 1989年 08時間48分
最高齢(男性) George Burnstad (アメリカ) 2005年 15時間59分 (70歳と4日)
最高齢(女性) Carol Sing (アメリカ) 1999年 12時間32分 (57歳)
最若齢(男性) Thomas Gregory (イギリス) 1988年 11時間54分 (11歳と330日)
最若齢(女性) Samantha Druce (イギリス) 1983年 15時間28分 (12歳と118日)
最遅(男性) Henry Sullivan (アメリカ) 英⇒仏 1923年 26時間50分
最遅(男性)(2-way) Antonio Abertondo (アルゼンチン) 1961年 43時間10分
最速 2-way(男性) Plil Rush (ニュージーランド) 英⇒仏⇒英 1987年 16時間10分
最速 2-way(女性) Susie Maroney (オーストラリア) 1991年 17時間14分
最速 2-way(男性) 仏⇒英⇒仏 Phil Rush (ニュージーランド) 1987年 20時間26分
最速 3-way(男性) Phil Rush (ニュージーランド) 1987年 28時間21分
初(男性) 3-way Jon Erikson (アメリカ) 1981年 38時間26分
初(女性) 3-way Alison Streeter (イギリス) 英⇒仏⇒英⇒仏 1990年 34時間40分

*参考資料(2)

日本人チャネルスイマーの記録
   (2006年までのソロスイマーのみ)

  1. 1982 大貫 映子   09h32m  CSA
  2. 1983 大貫 映子   11h15m  CSA
  3. 1986 小川 敏雄   10h22m  CSA
  4. 1990 小林 芳枝   19h47m  CSA
  5. 1992 川上 日出夫 12h58m  CSA
  6. 1993 小川 敏雄   13h34m  CSA
  7. 1995 根岸 達也   11h12m  CSA
  8. 1996 木村 善仁   20h23m  CSA
  9. 1997 久保 隆裕   09h53m  CSA
  10. 1997 塚田 吉彦   13h11m  CSA
  11. 2000 五十嵐 憲   16h42m  CSA
  12. 2002 小田切 杏子 14h57m  CSA
  13. 2003 西堀 千賀   12h24m  CSA
  14. 2005 藤田 美幸   17h03m  CS&PF
  15. 2005 藤田 美幸   13h41m  CS&PF
  16. 2006 藤田 美幸   13h35m  CS&PF
  17. 2006 眞壁 功     15h50m  CS&PF(最高齢:62歳)

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